アデレードの住宅のウラとオモテについて

たしかこのブログの最初に始めたころ、アデレードの住宅の特徴として、"伝統的に(といっても19世紀ごろからですが)砂岩づくりの家が多かったが、最近では低コストのレンガづくりが多い"ということを説明したと思います。今回はその具体例をあげてみましょう。

まず、写真1の住宅の正面をごらんください。やや暗い色調の石材が目を引くと思います。この地域に豊富な砂岩の一種です。つぎに、写真2、これが同じ家の裏側、レンガがそのまま外見になっています。つまり、人目を引く正面は、伝統的な砂岩風を装い、(新しい住宅なので、これもおそらく表面だけ砂岩を使ったパネルだろうと思われます)、その裏は、ちゃっかりレンガなのです。

そこで、昔読んだ林望センセイのエッセイを思い出しました。彼はイギリス滞在中の体験を様々なエッセイにまとめていますが、そのなかでこんな下りがあったのです。"古くから続く伝統をなによりも重んじるイギリス人たちは、住宅をとってもしかりである。数百年前に建てられた家に住むことを誇りにする彼らは、比較的新しい建材であるレンガの家にたいして価値を認めない。日本人のなかにはよくレンガづくりの家をいかにもヨーロッパ風だとしても喜ぶ人もいるが、イギリス人からするとそうではないらしい"、たしかこんな内容だったと思います。(はっきりとこの通りというわけではありませんが、覚えている限り、という意味です。)

私としては、正面だけでもこうした昔風につくる発想が微笑ましいと思うのですが、イギリス人はこうしたオーストラリアの家にどのような感想をもつのでしょうか、いつか聞いてみたい気がします。


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写真1:住宅の正面

写真2:
これが同じ家の裏側です。