知れば知るほど奥深い、イギリスの住宅観のディープな世界

オーストラリアに住んでみると、やはりイギリスとの関係の深さを感じることが多くあります。英語のスペルや単語などもアメリカとは異なります。オーストラリアで、築100年以上の石造りの家に、実際今も人が住んでいることに当初感動を覚えたものですが、イギリス人の住宅に対するこだわりをテレビドキュメンタリーや雑誌で知ると、またさらに新しい発見があります。

先日ご紹介した、イギリスの『Escape to the County』というドキュメンタリーはもう何年にもわたり、田舎暮らし用の住宅を探す人々の姿を追っていますが、この”田舎暮らし”にただならぬこだわりを持っているのがイギリス人のようなのです。例えば、イギリスには『Country Life(いなか暮らし)』というページ数はそんなにない雑誌が週刊で刊行されていますが、毎回特集されるのが、”家”というよりは”お城”!!。ナントカ伯爵家の○○代にもわたるお屋敷が毎週きれいな写真入りで紹介。築300-400年なんていうのもざらです。日本であれば、文化財として、国有あるいは公共の所有になりそうなものばかりなのですが、そんな”お屋敷”が私有で実際に人が住んでいたり、またよくまあ週刊の雑誌で紹介してネタが尽きないほどたくさんあることに驚きです。

ただし、そういった立派なお屋敷があるのは、北スコットランド地方やかなり辺鄙な場所。あくまで別荘のような形で住み、普段はロンドンのような都市が拠点のようです。といってもこんな立派な建物を遊ばせておくはずがありません、大きなお屋敷の一部を、宿泊施設や結婚式用に公開して現金収入を確保したり、また広大な所有地をレジャー狩猟用に開放して、うまくビジネスとしています。もちろん、こんな暮らしが許されるのは、ほんの一部の限られた人々に過ぎないのでしょうが、田舎に家を持ち、自然のなかで暮らすことがステータスとして確立していることに、イギリス人らしいこだわりを感じます。



ミセスリフォームスタイル

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写真1:
雑誌『Country Life』の表紙。特集は”小さめの田舎の家”とありますが、やはり日本のそれとは規模が違うことでしょう。



写真2:
『Country Life』特集見開きページの一例。こんなお屋敷が週刊で紹介できるほど豊富に存在することに、イギリスの住宅文化の豊かさを覚えます。