なかなか興味深い、アデレードの住宅スタイル徹底分類!(前編)

これまでにさまざまなアデレード(オーストラリア)の住宅たちをご紹介してきましたが、ここでいったん、どんなタイプの住宅がどんな時系列で建てられてきたのかまとめてみたいと思います。時代背景やそのスタイルを知ったら、また今までとは違った視点で海外の住宅を見ることができるのではないでしょうか。


・1836- Settler’s Cottage(入植初期のコテージ)
1836年、南オーストラリア州は正式にイギリスの植民地となり、入植が進みました。その創成期の入植者たちによって建てられたのが『セトラーズ・コテージ』と呼ばれるきわめて簡素なスタイルの住宅。地元で安く入手しやすい木材、藁で補強した泥、レンガ、石材などで作られています。規模も大きくなく、2ベッドルームなど必要最低限の広さのものが多数。


・1840-1870 Colonial Cottage  (植民地時代のコテージ)
『セトラーズ・コテージ』に比べ、より強固な構造のコテージで石材やレンガなどがメインで作られています。


・1860-1915 Symmetrical Cottage  (左右対称型のコテージ)
現在のアデレードでもよく保存され、ファミリーホームとして活用されているのをたくさん見かけるのがこの左右対称型コテージです。正方形型の住宅に、ベッドルームが左右2つずつ配され、外観もしっかり左右対称になっています。アデレード近郊住宅街のファミリーホームの典型とも言えるタイプ。


他にも『ロウ・コテージ(Row Cottages )』と呼ばれる、いわば間に合わせの住宅スタイルもあり、これは左右隣同士の住宅とぴったりくっついた形の家もあります。日本の長屋を思わせるような造りですが、これも当時貧しかった人たちの住宅となっていたようです。


このようにアデレード創成期には、“コテージ”(小屋)と称される住宅が盛んに作られていました。その一部が現在でも手入れやリフォームを重ねながら、人々の住まいとなっているのは、素敵なことだと思います。

この後、19世紀後半から20世紀にかけて、アデレードも都市として発展し、人々の生活も豊かになってくると、より装飾性の高い住宅が作られるようになってくるのですが、これはまた別の回にお話ししましょう。


ミセスリフォームスタイル
http://www.mrs-reform.com

写真1:『セトラーズ・コテージ』の一例。アデレードの家としてはかなり小規模で、裏道にひっそりと佇んでいました。

写真2: これは1855年に建てられた『コロニアル・コテージ』のひとつ、本来2ベッドルームと小さな家でしたが、現在は5ベッドルームにバスルームが3つという大きなファミリーホームに生まれ変わり、次なるオーナーを待っています。